スペインの礎といわれるアラゴン王国の古都 サラゴサ(Zaragoza) は、人気観光都市のひとつで、スペインを代表する画家ゴヤの生まれ育った町としても有名です。
美食の町・サンセバスチャンを堪能した後は、古都・サラゴサへ移動してみました。2019年の初夏に世界一周したときの旅を振り返ってみました。
サラゴサ
サラゴサは、スペイン第5の都市でアラゴン州の州都・サラゴサ県の県都です。町の歴史は古く、紀元前ローマまで遡ります。
1118年にはアルゴン王国の首都となったのですが、19世紀にはナポレオン軍の攻撃を受け、大きな被害を受けました。
エブロ河川に広がった現在の街並みはその後に再現されたものですが、あちこちに中世の面影が残っていて、イスラム文化の痕跡も見ることができます。
出発:サンセバスチャン
サラゴサは内陸に位置するので、首都のマドリードや、観光地のビルバオ、バルセロナからアクセスすることができます。
このときはオフシーズンだったので、チケットは、サンセバスチャンに到着した日に Renfe(スペイン国鉄) の駅で買いました。
スペインはバス網が発達しているのでバスで安くも行けるのですが、ヨーロッパの列車の旅も大好きなので、最終地のバルセロナまで電車で移動することにしました。
サンセバスチャンの駅の改札は、2種類あります。上の写真は近距離用で、自由に出入りできます。
7時38分発バルセロナ行きの Alvia高速列車 に乗ります。
改札が7時頃から始まりましたので、駅舎左手の コントロール と書いてある場所へ進みます。
チケットは、自分で刻印するのではなく、飛行機での搭乗のようにパスリーダーを通しました。
長距離線に関しては、セキュリティがあり、誰でもがホームに入れないようになっていました。
列車は、イルンからやってきました。最終目的地はバルセロナで、サラゴサまでは4時間かかります。
プロモーションでなぜか?2等と1等が同じ値段だったので、1等車にしました。
座席幅はそんなに広くありませんが、一人用の座席もあるので、長時間でも快適に過ごせました。
この「Alviaと」いう列車は、高速列車なのですが、サンセバスティアンからサラゴサまでの区間は単線区間で山岳地帯を走っていたりするせいか、それほどスピードは出していないようでした。
到着:サラゴサ
少し遅れて、サラゴサ・デリシアス駅(Estación Zaragoza-Delicias) に到着しました。イメージと違い、とても近代的な駅舎でした。
サンセバスティアン出発時には4両編成でしたが、途中で連結されて長くなっていました。
市内まではバスで移動
駅は旧市街から少し離れているので、駅前から34番のバスで移動します。この時は1.85ユーロでしたが、今は値上がりしているかもしれません。
お釣りもOKでした。いつものように、運転手さんに降りたいバス停を伝えて、一番前の座席に座ります。
目的のバス停、Conde de Aranda 2 - Mercado Central に着くと、「ここよ」と教えてくれました。
バスを降りたそばには、Palacio de los Condes de Morata o de Luna という宮殿があります。ここは、観光客は入れないようでした。
市内のようす
バスを降りたら、google mapを見ながらホテルまで進みます。
スペインの古都らしく、石畳が多いので、スーツケースを持っていると歩くのが少し大変でした。
ヨーロッパらしい市場まで来たら、目的地まであと少しです。
せっかくなので、一番人が集まっている果物屋さんで次の日の朝ご飯を買いました。まず、整理券を取って呼ばれたら注文できるようでした。
ブドウとオレンジを2個買いましたが、量り売りで 1.9ユーロ(約250円) でした。美味しかったです。
その後、ホテルがある ピラール広場(Plaza Ntra. Sra. del Pilar) へ向かいました。
ピラール広場には、全スペインの守護聖母ピラールを祀る教会があり、スペインの聖母信仰の中心地となっています。
ここで googlemap あるある?ホテルに近づいているはずなのですが、見つかりません。
なので、広場のお店に入って聞いてみました。
「〇〇ホテルはどこですか?」と尋ねて教えてもらったら、すぐに見つかりました。
目と鼻のさきでした。ホテルの隣には観光案内所 (英語可)もあります。
ホテル・ピラールプラザ
今回泊まったのは、広場にある立地最高のホテルでした。
スタッフの方もとても親切です。
お部屋も広くて快適だったのですが、一番良かったのは部屋の窓からの景色です。
窓から広場を望むことができました。このときは、お祭りの前の日だったのでリーズナブルに泊まることができたようです。
ピラール祭
毎年10月に行われるサラゴサ最大の祭典・ピラール祭では、この広場に祭壇が設けられ、多くの人々が献花をするために訪れるそうです。
今回は1日違いでお祭りの様子を見ることはできなかったですが、町にはポスターが張られ、川沿いにはお店が並んでいたので、何となくの雰囲気だけを味わうことができました。
観光:古都を歩く
サラゴサの見どころは町中にかたまっているので、徒歩と路線バスで回ることができました。
アルハフェリア宮殿
ピラール広場のそばからバスに乗って最初に訪れたのは、アルハフェリア宮殿です。
しかし、到着した時、久しぶりに遭遇したスペインのシエスタ (長い昼休み) の時間帯でした。
大都市では消えつつある風習ですが、ここサラゴサではしっかり残っており、いい意味、スペインらしい旅の始まりとなりました。
14時から17時くらいまでお休みのようです。
仕方がないので、2時間くらいぶらぶらして、16時くらいから近くの公園にあったオリーブの木の下でボーっとしていました。
16時半に再開したので、やっと入れます。11世紀にイスラム王朝によって建てられた宮殿の中庭は、当時のままオレンジの木が植えられています。
イスラム文化の様式を取り入れたスペイン独自のムデハル様式の内装が見事です。ここは、世界遺産 アラゴンのムデハル様式の建築物 のひとつです。
イスラム教とキリスト教の文化が見事に融合した場所は他でも見られますが、ここの宮殿の格天井、漆喰装飾はとても美しく、時代を超えた幻想的な世界に迷い込んだ気がしました。
闘牛場
アルハフェリア宮殿のそばに、闘牛場があり、こちらも17時までは閉鎖していました。
宮殿を見学した後に行ってみると、すでにものすごい行列ができていて、今回は中を見るのを諦めました。
アルフォンソ通り
途中、古代ローマ時代の遺跡、カエサラウグスタ劇場も見ながらテクテク歩いて、アルフォンソ1世通りの辺りまで戻ってきました。
ここは、ピラール広場から旧市街の外側を走るコソ通りを結ぶと華やかな通りです。
ここからから5分ほどのところにバルが集まる El Tubo地区 もあります。
サラゴサのバル
まだ外が明るいので、BARというよりカフェでのお食事のような雰囲気でした。サンセバスチャンのような華やかさはないですが、やっぱり美味しかったです。
ラ・セオ
夕日が沈む頃、ピラール広場に戻ってきました。
広場にある高い建物は、 La Seo(ラ・セオ )、アラゴンの言葉でカテドラルを意味します。アラゴンのムデハル様式の建築物 として登録されているサン・サルバドール大聖堂です。
サン・サルバドール大聖堂 は、イスラム教のモスクを経て12世紀にキリスト教の教会になりました。なので、ロマネスク、ゴシック、ムデハル、ルネサンス、バロックなどさまざまな建築スタイルが混じり合った独特の美しさ持っています。
聖堂内の写真撮影は禁止なので、その荘厳さをご紹介できないのですが、今まで見た聖堂の中で一番重厚だと感じました。
他には、タペストリーのコレクションもあって見どころ十分な場所でした。
ここもお休み時間が長く、入れるのは19時半からとなっていましたが、待ってよかったです^^
ふと、広場で空を見上げると、お月さまがでていました。
旅先で変わっていく月の形を眺めるのも大好きなのです。
新月の日に日本を出発して、だんだん太っていく月、もうすぐ満月を迎えるようです。
ピエドラ橋
サラゴサは、エブロ川の脇に広がっている町で、エブロ川には、美しい石橋・ピエドラ橋 がかかっています。
ここは、月と世界遺産の建物群を楽しむのに最適な場所でした。
ピエドラ橋 は、12世紀にエブロ川にかけられた橋です。15世紀にゴシック様式の橋へと再建され、その後、洪水被害で何度も修復が重ねられ現在の姿になったそうです。端の4つの柱にサラゴサのシンボルであるライオンが据えられているので、ライオン橋とも呼ばれています。夕暮れの写真なので、右はライオンに見えないのですが(笑)、左はかろうじてイメージできるかしら( ´艸`)
朝の月
次の朝、早起きして橋に向かいました。
ピラール広場に面したホテルに泊まって本当に良かったです。
橋まで徒歩5分、ゆっくりと渡りながら朝日に照らされる建物群のの姿を眺めていました。
だんだん明るくなり、美しい!以外の言葉が見つかりません。
東に朝日、西に月。最終日に美しい風景を見ることができました^-^
再びレンフェの駅へ
最後は、川沿いのバス停から「36番」バスに乗って、デリシアス駅(Estación Delicias)へ向かいました。
34番は駅の真正面まで行きますが、36番は少し離れた所のバス停に泊るので、駅までは5分くらい歩くことになります。
サラゴサからはAVEというスペインの新幹線に乗り、バルセロナへ行きます。
駅には、AVE用の待合所もありました。
ちょうど独立運動で大騒ぎの真っただ中だったので、何日かバルセロナの交通機関がストップしていたようです。
なので、少し遅れて到着したのですが、なんとか無事にバルセロナからドイツのフランクフルトへ戻ることができました。
さいごに
初めてのサラゴサは、古き良きスペインらしさが楽しめる場所でした。
また、サラゴサで見た月と大聖堂の美しさは、今でも思い出すたびに「行ってよかったなぁ」と思います、
スペインの首都・マドリードとバルセロナの中間地点に位置しているので、どちからかも簡単にアクセスできるので、おすすめの町です。
最後までご覧いただきありがとうございます。