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バラの花というと初夏(5,6月)のイメージですが、爽やかな気候の中で楽しめる秋のバラもおすすめです。
今回は、千葉県にある「京成バラ園」の秋バラを堪能してきました。以前に行った、初夏のバラとのようすとともにお楽しみください。
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京成バラ園
京成バラ園は、千葉県八千代市にある1,600品種10,000株ものバラを楽しむことができる施設です。
1999年3月に、ローズガーデンを中心にローズショップやレストランなど、バラをコンセプトとしたサービス施設を併せ持つ複合施設としてリニューアルしました。バラは系統別に植栽されており、アーチやポールなどで演出されています。
例年、5月の中旬からは、10,000株ものバラが咲き誇り、6月中旬のアジサイの開花までバラの香りで包まれます。そして、10月になると、秋バラが園内を彩り、2023年現在「ハーベストローズガーデン」を開催中です。
ハーベストローズガーデン
・期間:10月6日(金)~11月23日(木・祝)
・営業時間:9時から17時
詳細はこちら >>> 【公式】京成バラ園
アクセス
東葉高速鉄道
八千代緑が丘駅下車:徒歩15分または、
東洋バス八千代医療センター行・八千代中央駅行「京成バラ園」下車(バス所要時間約5分)
京成線
京成線 八千代台駅西口下車
東洋バス1番のり場八千代緑が丘駅経由八千代医療センター行・八千代中央駅行「京成バラ園」下車(バス所要時間約30分)
以下、東葉高速鉄道に乗って、八千代緑が丘駅から歩いたようです。
改札を出たら左方向へ進み(イオンあり)、さらに左へ進みます。
途中、京成バラ園の案内がありますので、地上階へ進みましょう。あとは、道なり、真っすぐに歩けば到着します。
チケット
チケットは当日でも購入できますが、おすすめは、事前に楽天トラベル観光体験で購入しておくことです。
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おすすめポイント!
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おはようローズガーデン
10月後半の土日、通常より早く開園する「おはようローズガーデン」が開催されていました。
爽やかな晴天となった、週末。
6月のおはようローズガーデンと比べると人出は少なかったですが、それでも朝から多くの人で賑わっていました。
バラの香り
ところで、香料の世界では、ジャスミン、スズラン、バラを三大花香と呼びます。
ジャスミンは「王様」、スズランは「お姫様」、そしてバラは「女王様」だそうです。女王様といっても、孤高の女王様ではなく、他の香料と合わせると全体をよくまとめてくれる香りの女王様です。
そのバラの香りは、大きく分けて2系統があります。
一つは、ダマスク系(ヨーロッパのバラ)、もう一つは、ティー系(中国のバラ)です。
バラの香りについては、パヒューマリー・ケミスト (香りの科学者) ・蓬田勝之氏が書かれた『バラの香りの美学』を参照にしました。
ダマスク系の香り
ダマスク系は、ヨーロッパ古代のバラとされる「ロサ・ガリカ」や「ロサ・フェニキア」を起源とする、華やかでコクのある甘い香りです。一般的に、化粧品などのバラの香りとして知られている香りです。
ちなみに、「ロサ」とは野生のバラにつくもので、ロサ・ダマスケナ (Rosa damascena) は、「ロサ・ガリカ」と「ロサ・フェニキア」の子で、その花の大きさは手のひらに乗るくらいです。
『バラの香りの美学』では、ロサ・ダマスセナと表記されていますが、本稿では精油の世界で使われている「ロサ・ダマスケナ」とします。
バラの精油(ローズ・オットー)は、このロサ・ダマスケナから抽出されます。精油の主な芳香成分は「シトロネロール」と「ゲラニオール」ですが、芳香成分は600種類以上にもなり、全てを理解するのが難しい精油のひとつです。
ゲラニオール
ゲラニオールは、皮膚弾力、皮膚軟化作用が期待されるため、スキンケアに向いていると言われています。
精油を採り出すため、一つ一つ手で摘み取ります。
精油には、朝どれ(夜明けから早朝に摘んだ花びら)が使われます。1キロの精油を得るためには、バラの花びらが約3トン必要です。バラの花びら120枚から、わずか1滴の精油しか取れません。なので、バラの精油は希少で高価なのです。
一度花摘みに参加したのですが、急ぐと、けっこう棘で手を差してしまいました。大変な作業です。でも、1回(30分)くらいの作業だと、バラの香りに包まれながら、とても幸福感が高かったことを記憶しています。
別名「ペインティド・ダマスク」。
初夏の京成バラ園にあった、ダマスク系統の一季咲きのバラです。その名の通り、白く整ったロゼット (花びらが多いの意) の花の縁に、濃いピンクの覆輪 (ふくりん) が入ります。丸みを帯びた葉もやさしい雰囲気で、花名はギリシア神話の大神、ゼウスの母にちなんているそうです。
ティー系の香り
バラの香りには、ティー系の香りというものもあります。
ティー系の香りは「紅茶の缶をパカッと開けた時の香り」と言われています。実際にティー系のバラの香りを嗅いだところ、ダージリンのような紅茶の香りが前面に出てくるのではなく、そこはかとなく紅茶の香りがするといった感じでした(個人の感想です)。
ティー系の香りには、ラベンダーの精油より高い鎮静(リラックス)があるそうです。
資生堂の研究では、さらに「匂いとして感じないレベルの濃度でも鎮静効果がある」ことを突き止めています。また、いろいろな香料に混ぜることでも鎮静効果があることが分かってきました。
出典:『バラの香りの美学』pp42~pp44
以下、ティー系の香りを持つバラをご紹介します(初夏に撮影したため、秋バラとしては見られない品種も含みます)。
花弁が多い(ロゼット咲きの)ティー・ローズです。
サーモンピンクのグラデーションが美しく、ティー・ローズのなかでも特に温かな色調です。甘いティー香がありました。
パット・オースチン もティーの香りを持っています(京成バラ園では、イングリッシュ・ローズに分類されていました)。
1995年にイギリスのデビッド・オースティン氏が作られたバラで、奥様の名前が付けられています。日差しのもと、オレンジが目にまぶしく、香りだけでなく元気ももらえたバラでした。
ツル. セシル ブルンネは、発表が1894年と歴史があるティーの香りを持つバラです。太陽の光を浴びて白っぽくなっていますが、実物は、もっと柔らかな感じのピンクの花でした。なお、ツル系のバラは、秋にはほとんど見かけることはありませんでした。
バラは原種の数が多く、交配の歴史も古いため、登録されているだけでも4万種以上の品種が存在するそうです。面白いことに、精油を採り出すバラ「ロサ・ダマスケナ」には、この「ティーローズエレメント」はありません。現在は、ダマスク系とティー系のバラの交配が進み、現在のバラ(モダン・ローズ)のほとんどに、この「ティーローズエレメント」が含まれています。
香りと記憶
人間の嗅覚はとても不思議で、香りが昔の記憶と繋がることはよくあります。
特定の香りが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象を、プルースト効果と言います。
ブルースト効果
フランスの作家マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』という小説の中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸した際、その香りで幼少時代を思い出す場面があり、その描写が元になっています。
嗅覚は、五感の中で唯一「嗅細胞」や「嗅球」を介して、本能的な行動や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に直接つながっています。なので、大好きなバラの香りに包まれて過ごす時間は、本能的に「喜」や「楽」を感じるのかもしません。
ということで、香りも楽しんできました。
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ハーベスト ローズガーデン
ディズニーランドローズ
入園するとすぐのところに、ディズニーランドローズがあります。
この日は、プーさんをイメージしたバラ(スマイル・ハニー・ローズ)が咲いていました。プーさんの大好きなハチミツのような、鮮やかな温かい黄色の花です。フェディダ(青みを含む柑橘系の皮のような)の香りが特徴的です。園内にはディズニーの曲が流れていますので、しばらくの間ディズニーの雰囲気に浸っていました。
不思議の国のアリス
昨年秋、ハートの女王のわがままからスタートした「展望台」が、さらに3m高い展望台に秋限定で登れる高台にパワーアップしました。装飾は、「不思議の国のアリス」をテーマに今年誕生した新アトラクション「アリスツアーズ」のキャラクター達。
展望台の下にはバラのブランコ。そして展望台の上には、まるで無重力かの様な姿勢で写真が撮影出来る「無重力チェア」があります。バラが広がるガーデンを背景に、被写体が「まるで浮いているかのような」不思議な写真を撮影することが出来ます。
ベルばらのテラス
ところで、京成バラ園のパンフレットには「香りのバラのRose Map」というものがあります。
バラと言っても全てが良い香りを持っているわけではないため、園内では、特に香りが強いバラを「香りのバラ」として紹介しています。
漫画『ベルサイユのばら』の登場人物をイメージしたバラが咲いている「ベルばらテラス」。
秋バラの時期は、初夏に比べると花は少なかったですが、十分に楽しめました。
※以下は、6月に行った時のようすです。
ここにある「フェルゼン伯爵」が、香りのバラとして紹介されていました。一茎に5輪ほどの房になって咲き、気品ある紫の花色が目を引きました。強めの甘い香りがしました。
様々な色のバラがあるので、散策も楽しい場所でした。
ベルばらテラスからは、バラ園を一望できますので、おすすめです。
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秋バラ
秋バラは、中央の噴水周辺で多く見られました。
(写真だと少し見にくいですが)バラの花びらに朝露がついていました。
早起きしてやってきてよかったです。
夜にはライトアップもあるようですが、日中も、オーランタンとのコラボが楽しめます。
そして、「よく見つけたね」と書かれているカボチャは、ラッキーオーランタン。カボチャの中にある「ラッキーストーン」を 見事、交換所特設Bar「スポットライト」に持って行くと、景品がもらえます(2023年10月週末限定)。
濃い黄色の鮮やかな大輪咲きの四季咲き木立バラ・インカ。
開花が進んでも花色は色あせないため、秋バラの中でも目立っていました。
グレーを帯びたピンクの花色をもつ、ピンクフレンチレース。
弁先はフリルが入った平咲きで、1輪もしくは数輪の房で咲いていました。
バラの人、鈴木省三氏のバラのそばにも、バラの中を歩ける仕掛けがあります。
バラを見ながら香りも楽しみ、そして青空のもと写真に納まる・・・最高の1日になりました。
初夏のバラ園との違いは、紅葉も同時に楽しめることでした。
ランチ
日によってはキッチンカーも出ているので、お昼はこちらでいただくことにしました。
デザートとコーヒーは、となりのキッチンカーで。
どちらも美味しかったです。
この時期の散策は、バラだけでなく少し色づき始めた紅葉・黄葉も楽しめるので、おすすめです。
いい一日になりました。
初夏の京成バラ園
ここからは、2021年初夏に行った時のバラをご紹介いたします。
ボレロ
ボレロも花弁が多いロゼッタ咲です。
香りは、フルーティですが、かすかにスパイシーも感じられました。白くて柔らかな花びらがふんわりと重なり、繊細な印象のバラです。春の一番花は、花の中心にほんのりピンクがのっていました。
小人になって、このバラの真ん中で眠ってみたいです(^^)
桃香
花形が縦長で、濃い桃色の花弁を持つバラです。名前は、私のブログIDと同じ「桃香」。
作出は京成バラ園芸。こちらの園オリジナルのバラです。香りを表現するのは難しいのですが、ティーの香りに、強い甘さと柑橘系のフレッシュさを感じました。2009年越後国際コンクール金賞など、栄えある香りのバラ人気No.1に選ばれた経緯を持っているようです。
なお、こちらのバラは、秋にもきれいに咲いていました。
青バラ
ところで、青バラもたくさんありました。
青と言っても、遺伝子組み換えされたものではないので、一般的な青ではなく藤色のバラです。
上の写真の左が「ブルー・ムーン」で、右が「ブルー・パフューム」です。
どちらも、最初は、フレッシュかつ華やかなダマスク系の香りも感じました。しかし、嗅いでいると、ワックスのような香りが残りました。
これらのバラには、ウッディ・ハニーと呼ばれる香気成分が多く含まれているそうです。
ウッディ・ハニー
木材質および粉っぽい蜜様の匂いを想起させる香気成分
出典:『バラの香りの美学』pp104・pp114
四季咲き性の品種で、冬期を除く春~秋に繰り返して何度も開花します。棘が少ないという特徴を持ちます。
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コーヒーシリーズ
バラの世界でコーヒーシリーズと言うかどうか分かりませんが、面白い名前が付いているバラを見つけました。
エスプレッソコーヒーとミルクが混じった、あのクリーミーな色合いを彷彿させる、とても優しい色のバラです。
見ているだけで気持ちがほっこりとしてきました。切り花としても流通しているそうで、花もちはいいようです。
花が開いてくると、だんだん周囲の花弁は白っぽくなる、ミルラの香りを放つ品種です。
ミルラは、和名では没薬(もつやく)と呼ばれます。日本人にはあまり馴染みがありませんが、エジプトでは古代に太陽神ラーへの薫香として正午の儀式のときに焚かれていたものです。精油を勉強したとき、ミイラが腐らないように使った精油だと習いました。なので、ミイラの語源はこのミルラだそうです。
甘みだけでなく、やや青臭さもある独特の香りで、いわゆる典型的なバラの香りとは少し違います。その香りは、八角やハーブのアニスシードに似ていると言われています。
この香りをかぐと落ち着くという感想を持つ方が多いそうです。なので、この花色と香りを備えたバラの名がカフェ・ラテとは、納得のいくネーミングです。
近くにはカフェオレもありました。グレーを帯びた薄いラベンダー色の花は、中心が茶色を帯びています。
カフェオレの方が、淡い色になるようですね。
モカ
モカ。少し明るい色になってきました。
バラ園を楽しむために
ところで、バラが最も香るのは、花が半開のときだそうです。
そして、時間としては午前中(10時頃まで)がおすすめです。朝露が付いているバラを見ることができます。
また、色を楽しむためには、やや曇りがちな日がいいようです。
『バラの香りの美学』に、バラのかぎ方のマナーが紹介されていました。
- 花弁に顔を近づけ、スーッと静かに香りをかぐ
- 少し息を止めて、香りのイメージを思いめぐらす
- 花から顔を横にそらし、味わった香りを花から出す(花に息をかけない)
- ①から③を3回ほど繰り返して、香りを言葉にしてみる
バラの香りを表現するには、ハーバルグリーンやフルーティフローラルなどの専門用語があります。
しかし、この専門用語は、誰でもがすぐに理解できる表現でないように感じます。
私は、「はちみつの香り」や「柑橘系の香り」など身近なものを思い起こすようにしていますが、バラの香りは約1,000もの香り成分で構成されており、一言では言い表せません。なので、自分が感じるままで楽しんできました。
バラの香りを堪能したあとは、バラのソフトクリーム🌹
秋に行ったときは、ジェラート(栗とバラ風味)。
栗はそのまま栗!バラはそのままバラ!の風味が楽しめて、歩き疲れたときにおすすめです。
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さいごに
初夏と秋に京成バラ園へ行ったようすをお届けいたしました。
秋のバラ園では、少し早い木々の紅葉・黄葉も楽しめたので、一石二鳥。いい一日になりました。
バラの香り効果のおかげか、バラ園を歩いたその夜はぐっすり。よい睡眠を得ることができた気がします。
最後までご覧いただきありがとうございます。