山形県にある日本の宿「古窯」は、開湯560年余りの歴史を誇る「かみのやま温泉」にある老舗旅館です。
歴史のある宿ですが、2019年4月に、宿泊棟のうちの一つ「雪の館」をフルリニューアルさせました。新しい客室は、温泉付きです。
今回は友人との旅だったので、GoToトラベルの割引を利用して、新しい客室に泊まってみました。
古窯
古窯は、毎年、プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選のトップ10に入っています。
2020年の第45回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の総合部門の順位は以下です。
1 位 :加賀屋(石川県 和倉温泉)
2 位 :稲取銀水荘(静岡県 稲取温泉)
3 位 :八幡屋(福島県 母畑温泉)
4 位 :白玉の湯泉慶・華鳳(新潟県 月岡温泉)
5 位 :指宿白水館(鹿児島県 指宿温泉)
6 位 :草津白根観光ホテル櫻井(群馬県 草津温泉)
7 位 :日本の宿 古窯(山形県 かみのやま温泉)
8 位 :水明館(岐阜県 下呂温泉)
9 位 :ホテル鐘山苑(山梨県 富士山温泉)
10 位 :いぶすき秀水園(鹿児島県 指宿温泉)
古窯は、総合部門7位、そして各部門でもトップ10に入っています。
- もてなし部門:8位
- 料理部門:10位
- 施設部門:7位
- 企画部門:1位
旬間旅行新聞より
名前の由来
「古窯」という名前は、敷地内から発掘された、今から約1,300年前の奈良時代の窯跡にちなんでつけられました。
古窯では、素焼のお皿等に絵付けをする体験プランもあります。
館内のあちこちに、古窯に泊まられた各界の著名な方々 (古すぎて若い方には分からいないかも・・・) の名前付きの作品が飾られていました。
アクセス
古窯の最寄りの駅はJRかみのやま温泉駅です。車で6分の場所に位置していますが、1時間ごとの送迎もあります(予約不要)。
【迎え】
13:45 / 14:45 / 15:45 / 16:45 / 17:45
【送り】
7:50 / 8:45 / 9:15 / 9:45 / 10:15 / 10:45 / 11:15
※18時以降は、お問い合わせください。
GoToトラベル
今回は、じゃらんnetで宿泊施設だけ予約しました。
もっとリーズナブルな値段のプランもありましたが、せっかくなので半露天風呂が付いている新しい部屋を選びました。元は、私にとっては、GoToトラベルがなければ手が出せない値段です。
送迎とチェックイン
15時のチェックインに合わせて、最寄りの「かみのやま温泉駅」に着くようにして、お迎えのバスに乗りました。
小さなマイクロバスですが、私たち2人だったので、ゆったり来られました。
ドライバーの方もとても丁寧な対応でした。
バスを降りると、宿の方が荷物を持ってくれました。
旅館に着いたらすぐに手続きをすることができました。代表者だけが進みます。最初のソーシャルディスタンスです。
フロントには、スタッフが3人(3カ所の窓口)いらっしゃいますが、旅館の規模からすると小さなフロントでした。
多くの人がチェックインを待っていました。
コロナ対策
コロナ対策は、館内のあちらこちらで工夫が見られました。
旅館でよくある「仲居さんが部屋まで案内してくれて挨拶、説明、お茶を入れてくれる・・・」という一連の流れはありませんでした。
部屋に入って10分くらいすると、フロントから電話がかかってきて、電話のそばに用意されている案内の紙を見ながら説明を受けます。
非接触のよく考えられたサービスだと思いました。
ただ、電話での説明は物足りなかったです。
あとで「あれっ?wifiのパスワードはどこかしら?」なんて、後で分からないことが出てきて、その度に聞くのは面倒でした。
また、もてなし部門第8位とは思えないほど、ざっくばらんな口調での接客にちょっとびっくりしてしまいました。
顔が見えない中での接客は難しいですね。普通のホテルなら、問題ないことなのですが、接客に期待していたので・・・。
部屋のようす
部屋は5階でした。
537号室は、12畳の和室とベッドルームの和洋室です。ドアをあけると、まだ木の香りがしました。
家具や建具の木の色を明るめの色で統一しており、和室と欧風の家具の組み合わせた素敵な部屋です。
今回のリニューアルのターゲットは30~40代の個人の女性客だそうで(少しずれていますが)、落ち着く雰囲気の部屋でした。
フローリングに置かれたベッドはワイドサイズのシモンズベッドでした。
ベッドサイドにはスマホが置けるスペースとUSB電源があり、枕もとで充電することができました。
ライトも、枕もとで明るさを調節できるようになっていました。また、シーツも肌触りがよく、ベッドの寝心地もよかったです。
浴衣は各サイズがあらかじめ引き出しに用意されているので、好きなものを選べます。
空気清浄機も標準完備で、大きなテレビもありました。
この北欧調のソファーは快適でした。友人とソーシャルディスタンスを保ちながら会話することができました。
大きな窓が付いているので換気もできます。
お茶セットも素敵です。急須は山形で有名な鋳物職人の手で作られた伝統工芸品、茶碗は平清水焼で名前も「残雪」だそうです。
薫り高い封切茶が用意されていました。
部屋の飾りや備品は、雪をテーマとした部屋に合わせて用意されているようです。
これで部屋から景色が楽しめたら最高です。私たちが泊まった部屋の説明は、以下でした。
2019年5月、雪をテーマとした寛ぎの空間が誕生。半露天風呂付客室、六階露天風呂付客室がリニューアルいたしました。
葉山を一望できる客室。
https://www.koyoga.com/rooms/
しかし・・・
障子を開けてガッカリ・・・。
駐車場だけでなく、電柱ビューです。葉山はどこに?
いくらGoToトラベルで激安で泊まれたといっても、これはあまりにも酷い。
いや、GoToトラベルがなくても部屋からの景色は変わらないので、普通の料金だとそのガッガリ度はマックスになってしまいそうです。
座って景色を見ることにしました。
がいし (電柱の電線を支える白くて丸いもの) ビューに変わりました(笑)。なので、ずーっと障子は閉めたままでした。
部屋の半露天風呂
洗面所は広くて、フローリングだったので、使いやすかったです。
コロナ禍での対策なのか? 化粧水などはありませんでした。
また、大浴場(温泉)へは、部屋からバスタオルを持って行きます。バスタオルは2枚ずつ用意されていました。
この部屋 (雪の館) に決めた理由の一つの「半露天風呂」。
古窯・公式サイトよりお借りしました
開放できるガラス窓付きの半露天風呂です。
しかし、こちらもドアを開けてガッカリ・・・
旅館の公式サイトにあったイメージとは異なり、趣も何もありません。
これじゃあまるで家のお風呂です(私の写真の撮り方が悪いのか!?)。
24時間かけ流しなのですが、熱すぎてすぐに入ることができません。なんかの罰ゲームのような熱さでした(泣)。
窓ガラスもきれいに拭いていて欲しかったなぁ。
コロナ禍で大変な中、手が行き届かないのは仕方がないのでしょうか。泊まれるだけでもありがたいと考え、気を取り直して大きなお風呂に行きます。
古窯の湯めぐり
古窯には、8階のと1階の2カ所にある内湯と露天風呂、そして有料の貸し切り露天風呂があります。
8階の湯では雄大な蔵王を一望に、1階の湯では内湯の他、樽露天風呂があります。
8階:展望大浴場
- 女性 4:00~13:00
- 男性 13:00~1:00
露天風呂は垣根があるので、お湯に浸かると、マウンテンビューではなくスカイビューです。
「夏は満天の星空の下で・・・」と書かれていましたが、女性は見ることができませんでした。
女性が入れるのは、明るい時間帯だけなので。
朝早くに行きました。朝5時、多くの人が来ていましたが、広いので蜜とは感じませんでした。
それ以前にオープンエアですしね (^^) 少し冷たくなった風を受けながらの露天風呂は気持ちよかったです。
内湯からは、雄大な蔵王の姿を見ることができました。個人的には、8階の内湯が一番好きです。
1階:紅花風呂
- 女性 13:00~1:00
- 男性 4:00~13:00
1階には、樽露天風呂がありました。一人でのんびり入ることができます。
「過去の湯」「現在の湯」「未来の湯」とありましたが、こちらは意味がよく分かりませんでした。
内湯の他、高温サウナと、マイナス5度の「かまくらサウナ」という冷温サウナもありました。
高温と低温を行ったり来たりするのが通だそうです。ただ、この時は閉鎖中でした。
泉質
お湯は透明で柔らか、その泉質は「 ナトリウム・カルシウム・塩化物・硫酸塩温泉」です。
天然の保湿成分だと言われている「メイタイ酸」は、1,000mg中76mg! 1000mlに対しての含有量が50mg以上なら特に美肌に有効があるといわれているそうなので、まさに美肌効果の湯ですね。
夕食
夕食は個室食事処「ぎおん」でいただきます。かなり広い旅館なので、夕食会場までけっこう歩きました。
かわいいお重の袋を取ると、3段重ねのごちそうが入っています。
したかったのですが、すぐにできず・・・。
「泡がなくなるので、食事の説明は要らないよ」と思っていた時の写真です (笑)。結局、泡は少なくなってしまいましたが。
もてなし部門8位、この微妙な順位が物語っている気がします (←辛口・笑) 。
今年初の(そして多分最後の)土瓶蒸し♡ 松茸と鮎川村の舞茸が入っていました。
「田鏡」と名付けられた弐の重にあった「鮭のたれ照り焼き」が、とても好みの味でした。
これでご飯が何倍でも食べられそうです。
一つ一つが丁寧に作られていて(そんな気がしました)秋を感じるお料理です。
鮎川村の舞茸
市場に流通している舞茸の多くは、大別すると「黒まいたけ」と「白まいたけ」に区分されます。黒まいたけは、色落ちしてしまい料理が美味しく見えません。
一方、白まいたけは、色落ちはしませんが、風味と歯触りに欠けます。この難点を解消したのが、鮎川村の「とび色舞茸」です。
鮎川村の舞茸は、しっかりした味があり、かつ出汁が黒くならないことから、料亭などで利用されています。
山形旅行に行く前に、テレビ番組の「満点☆青空レストラン」で紹介されていたので、食べてみたいなぁ・・・と思っていたら、こちらでで頂くことができました!
私は偶然知ることができたのですが、珍しいものなので、こちらには説明があればいいのになと思いました。
白身魚のお刺身(なんでしょう?)が一番!でした。もちろんマグロも美味しいです。
口の中で、お刺身が溶けてしまいました♡
メインの山形牛のステーキ!美味しくないわけがない!
付け合わせのジャガイモ(インカのめざめ?)もホクホクしていて美味しかったです。
多分、新米でしょうね。山形のお米・つや姫です。この時期の東北旅行は、美味しいお米にも出会えるので大好きです。
最後は、古窯名物のプリン。もう少したくさん食べたい!と思ったほど好みの味でした♡
今回は日本酒を控えましたが、食事に合わせてのお酒も美味しそうです。ごちそうさまでした。
朝食
朝食は時間制で、広い会場でいただきます。
この時は、ビュッフェ形式ではなく、まず、並んでお膳と温かいご飯などを受け取りました。
配膳場所からはるか遠くの席にしたのですが、トレイを運べるカートもありました。
4人席を2人で使えます。ここで面白い光景を見ました。
私たちの右隣の高齢のご夫妻は並んで食事していました。厚労省が推薦している横に並んでの会話なし。新しい旅のカタチです。
厚労省が推奨していた横並びでの着席ですが、お喋りをしてしまうと、AIの実験によると、飛沫は正面スタイルの5倍となる結果が出ました(2020年10月14日現在)。
なので、私たちは対角線に座りました。お喋りはなしです。
そして、左隣の若いカップルは、お互いの正面に座っていました。しかも、お代わりをもらうときはマスクなしです。
人々の、コロナ対策への意識の違いを感じた瞬間でした。
ビュッフェでなくても十分に量はありますが、スープとヨーグルト+フルーツのおかわり欲しかったです(美味しい♡)。
面白い仕掛け
古窯の企画部門1位の理由は分かりませんでしたが、一階のお手洗いには、面白い仕掛けがありました。
とても広い個室の中に、テレビがあるのです(最初、電子レンジかと思ってしまいました)。
でも、これって必要なんでしょうかねえ。
お土産
古窯のお料理ででてきた「さくらんぼ漬」と、ビーフカレーを買いました。ビーフカレーはまだ食べていないのですが、「さくらんぼ漬」は今回のお土産で一番のヒットです。
さくらんぼのお漬物?美味しいの?と半信半疑でいただいたのですが、これがはまってしまい帰りに売店で買いました。
さくらんぼの柔らかさと甘酸っぱさが好みの味で、山形に行ったら、絶対買いたい一品です。
もっと酸っぱい「さくらんぼ漬」もあるようです。
こちらの「さくらんぼ漬」は少し甘さもありますので、梅干しのはちみつ漬けが好きな方におすすめの味だと思います。
旅館の前にあった「山形プリン」。
古窯の夕食でいただいたプリントは少し違うタイプのようです。
早くに出発したので買うことはできませんでしたが、オープン前には行列ができていました。
さいごに
憧れの古窯、GoToトラベルのおかげで泊まることができました。駅との送迎があるのはありがたかったです。
泊まってみて、一昔前の旅館と言った感じを受けました(あくまで個人の感想です)。
泊まった部屋はリニューアルされていたのですが、館内は昭和の時代を思い起こす雰囲気でした。そういえば、昔こうだったなぁ・・・と感じる雰囲気に包まれていました。
エレベーター内にべたべた貼ってある館内の広告は、最近、高級旅館では見られない風景です。
宿泊されていた方は、ご家族連れ、ご夫婦などの個人客が主でした。コロナ禍で、昭和の名残のようなカラオケルームが閉鎖されていたので静かでよかったです。
施設は古くても(きちんとメンテナンスされていれば)気にならないのですが、一番期待していた接客に「すごい!」「さすが!」を感じられなかったのが残念でした。
最後は、また辛口になってしまいましたが、新しい部屋は木のぬくもりに包まれてリラックスできました。部屋の空気感が良かったです。
木のアロマでリラックス効果があったのかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。