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2025年3月11日(火)~14日(金)、東京ビッグサイトで開催された、アジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX(フーデックス)」に行ってきました。食品業界のビジネス拡大支援と最新トレンドを発信する場ですが、注目するのは、研究やボランティアで携わっていた中央アジアにあるキルギスのOVOP(One Village One Product:一村一品)商品。
まだまだ日本未上陸の商品が多いのですが、キルギスの豊かな自然の恵みと日本人専門家の技術で品質が高められた商品ばかりです。知っていれば、中央アジアへの旅行でのお土産探しにも最適!そんな中央アジアのOVOP商品をご紹介いたします。
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OVOPとは
OVOP(One Village One Product:一村一品)とは、1980年に始まった大分県の地域活性活動やそこから生まれた商品の総称です。当時の平松県知事が「一村一品運動」と名付け、様々な支援を行いました。その名前を使ったJICAのプロジェクトが、キルギスのOVOPです。
大分県の一村一品運動の多くは、すでにあった地元の様々なビジネスや地域活動、または周囲に刺激されて住民から生まれた活動を行政が支援したものです。一方、旧ソ連のキルギスでは、西洋のビジネスに関する知識を持つ人がほとんどいませんでした。そんな彼らに、地元の原材料を使って競争力のある製品に作り上げ、「収益」といった結果を実感させ、人々を繋げることでビジネスにまで成長させたのがキルギスのOVOPです。
キルギスのOVOP


中央アジアの内陸国のキルギス。
流れ入る、そして出る川のないイシククル湖、キルギスOVOPの主力商品を作り上げる人々がこの周辺に住んでいます。6月の短い時期だけ咲き誇るピンクのエスパルスセットの花々。キルギスOVOPの商品に欠かせない植物です。

青年海外協力隊員のアイデアから生まれた、フェルト人形。
日本の大手企業の力を借りて、10年以上かけて大きく成長したキルギスOVOPの目玉商品です。日本だけでなく、海外のMUJIでも売られています。

地元の人が知っていても生活の糧になるとは気づいていなかったものを探し出し、競争力のある商品に変えていくのがプロジェクトの力です。羊はいてもその羊毛を活用する方法を知らなかった現地の人々に、勝ち残っていくための商品を生み出す方法を教え、実際に売って見せることで人々を引き付ける。


キルギスの自生する植物で草木染めを行い、イシククル湖の周辺に住む女性たちがフェルト人形に作り上げます。検品を含めたビジネスを担当するのが「OVOP+1」というJICAのプロジェクトで生まれたソーシャル支援グループです。いわゆる現地商社のような働きをしています。
日本企業の厳しい基準にも対応できるまでに成長したキルギスOVOP。その力は、キルギスの自然の中から育まれる「食」の製品にもいい影響を及ぼすようになりました。
ハチミツ

大好きなキルギスの白いハチミツ。
食の展示会・交渉の場だったため、キルギスOVOPの美味しそうな商品ががたくさん並んでいました。
今回は、キルギスOVOPの商品を取り扱う「OVOP+1」のキルギス人CEOと副CEOの女性たちが来日していました。きれいな日本語で『キルギスのハチミツはいかがですか~』と呼び込みをした後は、私の出番です。
スマートフォンに残しているキルギスの美しい写真を見せながら、ハチミツの説明をしました。
まるで和三盆のような風味があるキルギスのホワイトハニー。インスタグラムで何十万人ものフォロワー数を誇る料理家の方も立ち寄られ興味を示してくれたそうです。味を知ると絶対にファンになるキルギスのハチミツ!
日本だと、「株式会社こぶた舎・ジベックジョル」さんや「山田養蜂場」さんで購入することができます。「山田養蜂場」さんのサイトでは "ホーリークローバー”となっていますが、キルギスOVOPのハチミツです。

さらに、今回は、主力のハチミツの種類が増えてパワーアップしていました。
面白かったのが、CAMEL THORNS(キャメル・ソーンズ)という砂漠の植物のハチミツ。

TRORNS(ソーンズ)とは「棘(とげ)」という意味です。
その名の通り、棘がたくさんある植物でラクダの餌にもなります。クダの口はゴムのようになっているので、棘だらけの植物を食べてもケガをしません。 そんな植物から取れたハチミツ。一口いただくと、優しいけど濃厚な風味が口いっぱいに広がりました。
2016年くらいから、特に食事において罪悪感を抱かずに食べること「ギルトフリー」という言葉で表すことがありますが、ハチミツはまさにギルトフリー!もちろん食べ過ぎには注意が必要ですが、疲れたとき一口舐めるだけでホッと落ち着く食べ物です。
シーバックソーン


キルギスOVOPの商品には、日本ではあまり知られていないものがたくさんあります。
そのうちの一つがシーバックソーン(Sea Back Thorn)。日本では沙棘(サジー)として知られているグミ科の植物です。小さな果実には、200種類以上もの栄養素が含まれていると言われ「奇跡の果実」とも呼ばれています。大きく長い槍のような棘を持っている植物のため収穫も大変なのですが、キルギスOVOPでは、自生するシーバックソーンの実を使って様々な商品が作られています。

大好きなキルギスOVOPのジャム♡
昔に比べてトロトロ度が増した気がします。ヨーグルト飲料に入れて食べていますが、舌に残るのは甘酸っぱいシーバックソーンの味。懐かしいキルギスの味。
原材料
・ハチミツ
・シーバックソーン
・ペクチン
・クエン酸
・アスコルビン酸(酸化防止剤)
お気づきかもしれませんが、ジャムなのに原材料に砂糖がありません。こちらは、シーバックソーン・ハニー・ジャム。

Sugar Free と書かれている通り、砂糖不使用のハチミツと果実だけの贅沢なジャムです。
キルギスにいたとき、市場で買ってきた酸っぱい果物にホワイトハニーを混ぜて食べていたのですが、こちらは日本の食品専門家の力を借りて作り上げたキルギスOVOPならではの逸品。ギルトフリーなジャムですね。
バーム

ところで、そのシーバックソーンを使ったBalmもありました。
100%キルギスの植物で作られたNomadic Balm(遊牧民のバーム)は、ミツロウや天然のオイルを主成分とした半固形状のものです。保湿力がありべたつかないため、リップクリーム替わりだけでなく、ハンドクリームや全身に使うこともできます。
オレンジは、シーバックソーン(沙棘・サジー)の自然な色です。
裏の原材料を見てみました。
原材料
・アンズ核オイル
・ミツロウ
・アーモンドオイル
・カレンデュラ(きんせんか)抽出液
・シーバックソーンオイル
・ローズヒップ抽出液
・プロポリス
・エスパルスセットハチミツ
・松の実オイル
など・・・
普段キャリアオイルを使って保湿している者にとって、このラインナップは魅力的!
どれも100%キルギスの自然からのおすそ分けなので、こんな贅沢な成分のバームが作れるのですね。全身に使えるということですが、私は爪の脇にすり込んで、その後に手の甲に広げる使い方をしています。爪の周りって結構カサカサになるのですが、なかなか気に入るものを探せないでいました。しかし、このバームは、ミツロウを使っているので体温で溶け、ほんの少しでも広がり、べたつかずにスーッと浸透していく感じです。香りも心地いい^^
まだ日本では入手できないのかな。かさばらないので、キルギスに行ったときのお土産にも最適です。
ビーツのチップス

赤い植物・ビーツを使ったチップス。
揚げるのではなく、乾燥させているチップスなのでギルトフリーなスナックです。
自分でも作れないかなと姑息なことを考えたところ、うまく乾燥させないと苦みが出るとか。キルギスに行かないと簡単に入手できない商品なので作ってみたかったのですが・・・。早く日本に輸入されないかなあ。見つけたらケース買いしたい、そんな商品のひとつです。
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キルギスのお店

今回FOODEX JAPAN 2025で紹介されていた商品の他にも、キルギスのお店へ行けば、選ぶのに迷うくらいの多種多様な商品が揃っています。キルギスのいいものを集結させたお店です。旅行者が一番立ち寄りやすいのは、首都ビシュケクのお店でしょうか。
キルギスのお土産探しに困ったら、いや困らなくても、ぜひお越しいただきたい^^
お店情報
・住所:140 Toktogul Street, Bishkek, Kyrgyz Republic
・営業時間: 09:00 ~ 19:00
・電話: +996 556 504 503
・インスタグラム:@ovop_business_center
日本語のサイトもあります。
タジキスタン

ところで、キルギスで成功したビジネスモデルは様々な国から注目され、OVOPの冠をもつJICAのプロジェクトは隣国にも広がっています。
今回新しく紹介されていたのは、タジキスタンの商品。

タジキスタンのアジナ・テパの涅槃仏(ねはんぶつ)を模して作られたタジキスタン産ピスタチオのクッキー。
アジナ・テパの涅槃仏は、タジキスタンの首都ドゥシャンベから約100Km南西のボフタル市近郊にあるアジナテという仏教僧院(7~8世紀に建立)で発見された全長13mの石像です。
タジキスタンのピスタチオは粒が小さく、そのままでは市場に出回っているピスタチオにはかないません。なので、オイルやクッキーにしたとか。今回、クッキーを試食させてもらいました。口に入れると、最初は硬いかなと思ったのですが、噛みしめるとピスタチオの風味が広がりクセになる味でした。
「地元のものを使って売れる商品を作る」と文字にしてしまうと簡単なことのように思えますが、これがかなり難しい。しかも輸出させるとなるとさらに難易度は上がります。さらに、主役は「人」です。生産者をどのように繋げ、自ら動けるようになるビジネスに成長させるまでの苦労は計り知れません。
キルギスOVOPの商品の背景がさらに分かる、チーフアドバイザーの著書もあわせてどうぞ。
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さいごに
キルギスから帰国して10年。
プロジェクトに携わっている皆さんとの再会は、喜び以外ありませんでした。皆さんと話しをしていると、10年の歳月が経ったとは思えないほどで、現地での生活がまるで昨日のことのように感じました。
英語、キルギス語、ロシア語を自由自在に操る現地の女性リーダーは、さらに逞しくなりCEOとしての自信にあふれていました!さらに、同じく3ヵ国を操り、10年前に期待の若手だった女性は日本の大学院で修士課程を修了し、プロジェクトの中心となって頑張っていました。こういった展示会は、日本のバイヤーさんにアピールできる絶好の機会です。多くの人の目に留まり、日本でもキルギスの安心・安全な商品が簡単に買えるようになるといいな。ビジネスのチャンスがさらに広がることを祈るばかりです。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
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