2017年と2019年に世界一周航空券を発券しました。
2017年は有償で、そして、2回目の世界一周は特典航空券によるものです。
今回は、そのときの経験をもとに、Book and Flyという予約ツールについて詳しくご紹介いたします。
※ 古くなっていたリンクを修正しました。
はじめに:世界一周航空券とは
航空券の中には、片道や往復だけでなく、1枚のeチケットで、ぐるーっと回って来られる 世界一周航空券 があります。
世界一周航空券は、3つのアライアンス (スター アライアンス・ワンワールド・スカイチーム) から発売されています。
今回は、ANAが加盟している「スターアライアンス」の世界一周航空券を選びました。
「スターアライアンス」は、加盟航空会社が一番多く、またマイル制をとって いるので自由にルートが選べるからです。
「スターアライアンス」に加盟している26社に提携エアラインを加えた28社を利用した旅程を組むことができます(2021年10月現在)。
世界一周の値段
STAR1 (29,000マイル以内) | STAR2 (34,000マイル以内) | STAR3 (39,000マイル以内) | |
---|---|---|---|
エコノミー | 358,900円 | 422,700円 | 494,600円 |
プレミアムエコノミー | 553,800円 | 632,300円 | 734,800円 |
ビジネス | 705,500円 | 822,000円 | 958,900円 |
ファースト | 1,141,000円 | 1,344,000円 | 1,504,800円 |
※ 2021年10月現在の運賃です。
ANAの公式サイトに旅程の例が載っていました。
エコノミークラスで発券すると、これだけの国を訪問できて、約50万円!決して安い値段ではありませんが、夢のような旅行ができそうです。
世界一周航空券の規則
世界一周航空券 の共通の規則 (約款:やっかん) は結構細かいです。全部頭に入れて旅程を組むのは大変です。
なので、まずは必須の点だけを集めてみました。
- 「出発国」および「帰着国」:旅行を開始する国と帰着する国は同じ国です (同じ都市である必要はありません)。旅行を開始した都市は経由できません。
- 旅行期間:出国便の搭乗日から帰国便の搭乗日まで、クラス別に最大3日~10日必要です。
- ルート①:太平洋、大西洋を1回ずつ飛行機を利用して横断する必要があります。
- ルート②:ヨーロッパ・中東、およびアフリカのエリアと、アジア、太平洋地域でのエリア間の横断は1回のみです(東回り、あるいは西回りのどちらか)。
- 「途中降機」および「乗り換え」:回数制限があります。
- 陸路移動:陸路移動は最高5回まで。
面倒な方は、専門の旅行会社にお願い (有料) することもできます。
でも、ツールを使えば、自分で作ることもできます。
Book ans FLY
自分で旅程を組むときに役立つのは、スターアライアンスの Book and FLY です。
スマホでも操作できますが、PCで地図を見ながら操作したほうが分かりやすかったです。
以下、PCの画面で説明いたします。
新しい旅を始める
最初に、新しい旅を始める ためにデータを記入してスタートします。
Book&Fly は、有償の航空券の旅程を組むときに使うものですが、特典航空券の場合にも「目安として」利用できます。
友人からの「モロッコに行きたい」リクエストと、私の行きたい場所を組み合わせて、旅程を組んでみます。
出発国を決める
今回は、アメリカ方面の大陸に渡って、ヨーロッパから日本に戻るルートにしたいと思います。
出発地を「東京」と登録したので、一番上に「TYOKYO,JAPAN」と表示されています。
出発国と帰着国
「出発国」および「帰着国」:旅行を開始する国と帰着する国は同じ国です (同じ都市である必要はありません)。また、「東京」から出発しましたが「沖縄」に戻っても大丈夫です。
「mont…」と入れると、プルダウン式に候補の空港名が出てきました。
3レター (モントリオール:YUL) でもOKです。日本語だと候補の空港が出ない場合もあります。
出発する日を決める
次に「モントリオール」を出発日を選びます。
旅行期間
出発した日から、最後の国際線搭乗の日までは、一定の日数が必要です。
日数は、クラスや出発地によって異なります。
必要日数
エコノミークラス (ノーマル運賃):
最初と最後の国際線区間 (ヨーロッパでご旅行を開始する場合は、大陸間セクター) が、最低3日間必要
プレミアムエコノミー・ビジネス・ファースト:
最初と最後の国際線区間 (ヨーロッパでご旅行を開始する場合は、大陸間セクター)が最低10日間
※エコノミークラス スペシャル運賃では、最初と最後の国際線区間(ヨーロッパでご旅行を開始する場合は、大陸間セクター)が最低10日間あることが条件となります。
有効期間は1年間です。
=日付変更線=
太平洋を渡るときに注意しないといけないのは、日付変更線です。
例えば東回り (アメリカやカナダを最初に行く場合) は、最初に日付変更線 を通過することになります。
一方、西回りのルートだと、最後に日本に戻るときに日付変更線 を通ることになります。
ポイント
10日以上なら、西回りなら9泊11日間、東回りなら9泊10日間、最低で必要な旅行日数となります。
また、航空券に記載された旅程の順序で搭乗しないと有効と見なされません。
つまり、乗り継ぎができなかったりすると、その時点で無効となってしまいます。
なので、旅程には少し余裕を持たせるといいと思います。
大西洋・大西洋横断
最初は太平洋を横断します。
ルート①
日本から出発しましたので、深く考えることなく、規則にあった「太平洋を横断する」はクリアできました。
もう一つの「大西洋を横断する」はこの後になります。右下に、全旅程距離 (マイル) や途中降機の回数がでます。
あとは、これを繰り返します。
大西洋横断
PCだと、目的地は、地図からも選ぶことができます。
ヨーロッパ (欧州) 大陸の最初の目的地は「ベルギーのブリュージュ」にしてみました。
ポイント
「空席ありき」の特典航空券で発券するときは「大西洋横断」が一番苦労します。
特に、特典航空券で発券したときは、可能なルートがなかなか見つかりませんでした。
そういう場合は、大きな都市間 (例:トロント→フランクフルト等) を渡ることで乗り切れる可能性が大きいです。
大陸を東か西回りで移動
スターアライアンスでは、全世界を6つの大陸 に分けています。
6つとは、アジア、北米、南米、欧州(アイスランド、グリーンランドを含む)、アフリカ・中東、南西太平洋です。
「日本」はアジアに含まれます。
ルート②
大陸すべてを通る必要はありませんが、ルートは東回り、あるいは西回りのどちらかで移動します。逆回りはできません。
一方通行になるかどうか?とりあえずBook&Flyでルートを作ってみて、エラーが出なければOKです。
旅程の完成
北米大陸から欧州に渡り、アフリカ・中東大陸に行き、再び欧州大陸に戻り、底から日本に帰りことにしました。
一つ一つ行きたい都市をつなぎ、旅程が完成したら、画面の右下に「☑コンプリート」と表示がでます。
※「コンプリート」と出ても、まだマイルや途中降機の回数が残っているため、フライトを追加することもできます。
【エラー:invalid】
規則に沿わないルートを入れてしまった場合は、先に進めません。
また、その区間のフライトがない場合にもエラーが出ます。
サーフェス
サーフェスとは、世界一周航空券に含まれないルートのことです。
世界一周航空券とは別に航空券を買って移動したり、鉄道やバスなどで移動する区間を指します。
旅程中に含めることのできるサーフェスの区間数は5区間までとなります。
ポイント
有償の世界一周航空券では「サーフェス」の距離もマイルに入れなければなりません。
乗り継ぎと乗り換え
世界一周の旅の途中で何回か飛行機を降りることになりますが、その方法は2つに分かれます。
- 途中降機:同一都市に24時間 以上 の滞在
- 乗り換え:同一都市に24時間 以内 の滞在
途中降機・乗り換え
「途中降機」および「乗り換え」には、回数制限があります。
今回の旅程での 乗り継ぎ は「モントリオール」「ワルシャワ」「ブルージュ」「マラケシュ」になります。
途中降機
途中降機 は「Stop Over:ストップオーバー」とも言います。全旅程で最低2回、最高15回 まで可能です。
同じ都市での途中降機は1回だけになります。
ただし、アメリカ国内では5回、その他の国では3回までです。
※ 2018年1月に回数制限が少し変わりましたので、今後も変更の可能性があるかもしれません。
=さらに詳しく=
アメリカ/カナダを出発する旅程: アメリカ本土/カナダでの途中降機は、4回まで(各国につき3回まで)となります。
ヨーロッパから旅行を開始する旅程: ヨーロッパでの途中降機は、5回まで(各国につき3回まで)となります。
どの都市においても可能ですが、各都市につき最高3回までとなります。
つまり、世界一周航空券では、この 途中降機 を繋げて旅程を作っていきます。
乗り換え
乗り換え は、24時間以内の滞在、ちょっと立ち寄りたい場合に利用できます。
24時間以内であれば、飛行機を降り、入国して観光もできます。24時間以内に空港に戻り飛行機に乗ればいいのです。
旅行を開始する出発国では、国内線および国際線の乗り換えは4回まで、その他のすべての国では、国際線の乗り換えは4回までとなります。
日本国内での乗り換え(国内線=国内線、国際線=国際線)は、それぞれ2回までです。
ポイント
例えば、ドイツのフランクフルトに早朝8時に到着した後、市内観光を楽しんで夜8時時の便でブランカ行きの便に乗る場合は「乗り換え」扱いとなります。
「途中降機」の最大8回の制限にカウントされません。
また、乗り換え の場合、貨物室へ預けた荷物は、最初の出発地から最終目的まで運ばれるので 乗り換え の空港で引き取る必要はありません。
なので、手ぶらで観光することができます。
乗り換え を利用すると、出発地の空港使用料を節約することもできます。
Book and Flyの弱点
Book & Fly は、無料で使えるツールですが、唯一の弱点は、乗り継ぎ と 乗り換え の区別をつけることができないことです。
上の写真のように、最初のフランクフルトを 乗り換え として、次のフランクフルトを 乗り継ぎ とするルートは検索できませんでした。
そのため、同じ都市で 乗り継ぎと 乗り換え をする場合は、電話での予約時に相談します。
フライトを選ぶ
旅程が完成したら、フライトを選びます。
フライトの候補が表示されますので、都合のいいフライトを選んでください。
上記は、スターアライアンスの公式サイトに掲載されている「約款」に基づいています。
約款は、変更の可能性もありますので、最新の情報(約款)も合わせてご確認ください。
特典航空券
世界一周航空券は、貯めたマイルを使って発券することもできます。
【全旅程の距離と必要マイル数】
※ 各区間基本マイレージの合計数です。
例えば、上で作った旅程は「17,892mile」です。
全旅程の距離が「14,001~18,000」mileに収まっているので、必要なANAマイルは「105,000」マイルとなります。
特典航空券を使って旅程を組むときは、この 全旅程の距離:mile と 途中降機の回数 を合わせ考えながら行います。
特典航空券の場合は、途中降機の回数 が変わります。
ポイント
特典航空券では、サーフェスの区間は加算されません。
また、特典航空券での発券は、有償チケットに比べて、空席探しが大変でした。
なので、一番難しい「大西洋横断」の便の日程・空席を見つけてから、日本出発日を調整すとスムーズに旅程が決まるかもしれません。
スポンサーリンク
さいごに
「Book and Fly」が新しくなっており、使い方が、3年前に行く前に調べた事とは少し変わっていました。
なので、また変更される可能性もあるかもしれません。
ただ、基本的なルールは約款に基づくことなので、スターアライアンスの約款も合わせてご確認ください。
最後までご覧いただきありがとうございます。