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未来博物館
2022年2月に誕生したドバイの 未来博物館(The Museum of the Future)。
世界屈指の没入体験型の博物館で、来館者は(完成時点から数えて)50年後の2071年の未来へタイムスリップして、宇宙旅行を体験したり、「気候変動」や「生物多様性」、「ウエルビーイング」などのテーマに沿って未来の生活を垣間見ることができます。
2019年にドバイに行ったとき、ドバイの中心地にあるシェイク・ザイード通りで、建設が始まったばかりのようすを移動のバスの中から見ました。この建物には柱がないそうなのですが、(教えてもらった通り)基礎となる部分に柱は見当たりませんでした。
ここからどのような形になるのか想像もつかなかったのですが、3年後に行ったとき、想像を絶する形になっていました。昨年はロビーまで、それから1年後の今年、やっと念願の内部に入ることができます。
アクセス
未来博物館へはドバイメトロでアクセスしました。
近づくと、煌めくシルバーリングのような建物が見えてくるその様子は圧巻の一言!
建物湾曲部分はステンレス鋼製、高度な技術を用いて1024個ものパーツで組み上げられており、『ナショナル・ジオグラフィック』で世界一美しい建造物のひとつに選ばれたそうです。
ドバイメトロの「EMIRATES TOWERS駅」を降りたら、案内に沿って進みましょう。未来博物館は、駅に直結しています。多くのモール同様、炎天下を歩かなくても施設にアクセスできるのがドバイのいいところ。
白い通路を通り抜けると、その先には未来の世界が広がっています。
外観をチェック!
内部を探検する前に、ドバイの幹線道路沿いに出て、装飾文字を配したひときわ目立つ外観を撮影しましょう。
高さ77mの楕円形の部分は人類、中心近くの空洞は未知なる未来、土台の緑は地球を表しているそうです。
ロビー階
さて、はやる気持ちを抑えてロビー階へ。
吹き抜けになっているロビーには、パタパタと羽を動かしながらAir Penguin(エア・ペンギン)がやってきました。
真っ白な壁にはアラビックカリグラフィーが施され、空間そのものが近未来の世界のようです。一部を光で浮かび上がらせるデザイン、支柱のないらせん階段など、このロビー階だけでも見応え十分だと思います。ここまでなら、予約しなくても営業時間内ならいつでも来ることができます。
ドバイメトロから繋がる通路は未来博物館の2階に繋がっていますので、階段かエレベーターでロビー階におりてみましょう。
ここには、ミュージアムショップのほか、世界に一つの香水を作ることができるパフューマリーがありました。
その日の気分や好きな香りなどの質問に答えていくと、ロボットが独自のアルゴリズムで調香してくれます。ロボットといっても、スタッフの方もそばにいますので、分からないことは教えてもらえますよ。
そばにはカフェもありますので、早く来てこちらで入館を待つこともできます。
カフェの入口近くにあるのは、無人のコーヒーバー・CAFE X(カフェ・エックス)。
ロボット(というかロボットアーム)がコーヒーの抽出からカップの受け渡しまで行ってくれます。ロボットアームの動きは、想像以上に繊細です。注文から決済まで、すべてスマートフォンで行います(支払いはクレジット・デビットカードのみです)。
メニュー
・アメリカーノ:20
・カプチーノ:23
・エスプレッソ:16
・フラットホワイト:22
・ラテ:23
・コールドブリューコーヒー:28
・ピーチアイスティー:28
※上記単位は通貨Dh(AED:ディルハム)
値段は普通のカフェ並みです。コーヒー豆は、地元で人気のロースター「ナイトジャー・コーヒー」のものなので、香り豊かでした。
チケット
現在プラチナチケット化している未来博物館の入場チケット。
公式サイトだけでなく、KlookやVeltraなどのプラットフォームから予約・購入することができます(日時指定・返金不可)。ロビー階にある機械でも購入できるようになっていますが、当日券は(今のところ)ほぼ皆無のようです。
今回は、Veltraで期間限定3,000円オフのクーポンを見つけたので、ほぼ半額で予約できました。3週間前に予約したのですが、(現地のガイドさん曰く)2か月前には完売してしまうこともあるそうなので、ラッキーでした。
ロビーの機械に、予約したときに送られてきたQRコードをかざすと(上の右の写真の)チケット代わりになるリストバンドが出てきます。あとは、これを手首に巻いて入場の列に並びます。
なお、このリストバンドは、館内に設置されたセンサーにタッチすることで様々な体験ができます。例えば、タッチパネルに自分の名前が表示されたり、画面の動きと連動したりするなど面白い仕掛けがありました。
土曜日の12時で予約したのですが、11時45分ごろに並んで入ることができました。
オープン直後か16時以降が空いていると聞いたのですが、12時ごろでも、混んでいて展示物が見られない(体験できない)という感じではありませんでした。
建物は7階建てになっていますが一般のゲストが入れるのは5階まで、まずは5階に行き1階ずつ下りながら見学します。
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宇宙へ
ここからは、さまざまな体験を通して未来の世界に没入していきます。
未来博物館の舞台はUAE建国100周年にあたる2071年。アヤという名前のAIに導かれながら、宇宙や大自然、そして癒しといった旅へと出発します。
最初は「パイオニアたちの旅」、入館者は高速宇宙カプセルに乗って2071年の宇宙に向かいます。
何人かでまとまって宇宙船を模したエレベーターに乗り込むと、何分か後には、地上600㎞のところにある宇宙ステーション "Orbital Space Station (OSS) Hope" に到着する設定になっています。
上昇中、壁面と天井に2071年のドバイの街の姿が映ります。その景色を楽しんでいるとあっという間に成層圏を抜け宇宙空間へ、さらにと飛び出し、OSS Hopeとドッキング!上昇中は、微細な振動が映像と連動しているので、本当に宇宙へと向かっている雰囲気が味わえました。
宇宙船から見る地球。
まるで宇宙飛行士になった気分!
UAEは、2021年に中東諸国として初めて火星への無人探査ミッションを成功させた国です。ここでは、月を利用した再生可能エネルギーへの取り組みや火星探査などが紹介されており、ゲストはその調査に自由に参加できるという仕組みになっています。
巨大な窓を模したプロジェクターに映し出されているのは、OSS Hopeから見える2071年の地球。
美しい姿だけでなく、大規模な山火事など、実際に宇宙から観測できる現象も見られました。
刻々と変わる美しい地球の姿から目が離せません。オーロラが現れたときは感極まって涙が出そうになりました。
ゆっくり眺めていると、次のミッションクルー達がやって来てしまいました・笑。でも、混んでいて困るという雰囲気ではありません。
太陽エネルギーを利用して人類に電力を供給したりすることなど、さまざまなミッションに参加するのですが、正直よく分かりませんでした・笑。
最後には、宇宙服姿のアバターを作ることができます。
OSS Hopeで働く人々のユニフォームがモニターに映し出されているので、端末に自分の顔をスキャンすると宇宙服を着たアバターをつくることができます。ユニフォームは変えることができますので、いろいろ試してみました。面白かったです。
この後、再び宇宙船に乗りドバイへ。展示レベル4にあるHEAL研究所へ進みます。
LIBRARY OF LIFE
今回一番感動したのは、こちらのDNAライブラリー。
レーザー彫刻が施されたクリスタルの瓶に、哺乳類や植物、単細胞生物まで、2071年までに生存または絶滅した2,400もの種が展示されています。
虹色に輝く空間ですが、ただ並べているだけではありません。台数制限はありますが、ぜひ、入り口で無料の専用端末を借りてみてください。
専用端末をクリスタルの瓶にあてると、瓶の中の動植物の詳細を知ることができます。多くの動植物は白く光るのですが・・・
なかには、真っ赤になるものもありました。
これは、2071年には絶滅している(であろう)という意味です。また、スタッフの説明によると、2071年には生態系が破壊され回復不能な状態に陥るといわれており、種の保存のために何ができるかを考えるための展示となっているそうです。
これは、Gorgonocephalus eucnemis、日本語では「オキノテヅルモヅル」。
日本海・北海道太平洋側に分布する深海性のクモヒトデの仲間だそうです。主に、深く冷たい水の中に生息しており、長い触手を使って小さな甲殻類やクラゲを捕まえるとか。「こんな美しい生き物がいるのか!?」と、美しいその姿にしばし見とれてしまいました。
詳細
・学名:Gorgonocephalus eucnemis
・英名:Basket sea ster
2,400種すべてを見ることはできませんでしたが、それでもこの部屋に1時間近くいたような気がします。こういった展示方法の博物館は初めてで、かなり興味深く知見を広げることができたと思います。
アマゾン
次の部屋は、2040年に悲劇的に絶滅してしまった熱帯雨林の再生モデルを見ることができました。
リストバンドを画面の前にある、見たい植物の機械にかざすと、その植物が再生されます。
まず pioneer tree (先駆植物) 。植物の生育にとってきびしい環境である裸地へ最初に侵入する植物が、どんどん成長していくようすが映し出されました。次に、キノコにリストバンドをあてると、土壌をきれいにするキノコが胞子を飛ばしてます。このように森は再生するという過程を体感できるコーナーでした。
未来のウェルネス Al Waha
3階のAl Waha(アル・ワハ:オアシスの意味)は、人間が持つ五感を研ぎ澄ます癒しの空間です。
入口には大きなピンクの花のオブジェがあります。
今まで体験してきた最新テクノロジーとは異なり、五感で癒しを感じるコーナーです。
ふわふわのマットの上を歩くMovement Therapy (ムーブメント・セラピー) では、歩くとその足の周りだけ潮が引いたように映像が反応する仕掛けとなっています。
このほか、機械に手をかざし振動を感じるものや、ドラの音を聞きながら振動で心と体をつなげるもの、そして香りを感じながら心を落ち着けるコーナーもありました。香りのコーナーでは最後に『何の香りがしましたか?』と質問されるので「レモン」と答えたのですが、正解は入口で見た花の香りでした。
ちなみに、レモンの芳香成分は以下です。
芳香成分
・d-リモネン
・β-ピネン
・γ-テルピネン
・シトラール など
一番多く含まれる「リモネン」は柑橘系の精油に含まれる代表的な成分で、爽やかで瑞々しい香りを持ち、その芳香成分が含まれている植物は「クロモジ(樹皮)」や「ラベンダー(アングスティフォリア)」があります。どちらの精油もリラックスやリフレッシュ効果があると言われているものなので、今回の花の香りも癒しに最適だったようです。
癒しの空間の最後は、The Centre(センター)と命名された瞑想ルーム。
横になれるソファーがいくつかあり、天井に波紋が映し出されています。その波紋をぼーっと眺めているとついうとうとしてしまい、10分ほど寝落ちしてしまったかもしれません。短い休憩でしたが、かなりリフレッシュできたと思います。
Tomorrow Today
最後は、Tomorrow Today(明日・今日)と名付けられた2階へ。
こちらは、世界で活躍するイノベーターたちの近未来技術を展示するフロアです。表情がリアルな人型ロボットや災害現場などで活躍するロボット、ドローン、介護に使われるパワースーツなどが飾られています。
2023年7月6日にスイスのジュネーブで開催された「AIサミット」で公開された人型ロボット・Ameca(アメカ)。帰国後にNHKの番組でロボットの特集を見たのですが、その番組でも紹介されていました。この Ameca には英語で質問できるのですが、子供が何か質問したら『それは、さっき答えましたから違う質問をしてください』とけっこう辛辣でした・笑。
現在使われているプラスチックの包装材の代わりになる、Notpla社が開発している海藻から作られた包装材。
中には飲み物も入れることができるほど丈夫で、そのまま口の中に入れているビデオ説明もありました。衛生的にはどうかと思いましたが、食品以外なら身近にあるのかもしれません。旅行に持ち歩いている洗剤(日本製)は洗濯するときにそのまま溶ける包装材でパウダー洗剤が包まれているので、似た発想なのでしょうね。オブラードのしっかりした版といった感じでしょうか。
さらに、ここには、リチウム電気で飛ぶ飛行機や地中に設置するワイヤレス充電器が展示されていました。ワイヤレス充電器は既にドバイの車道に設置されており、走行することで充電できるようになるそうです。
展示フロアの奥には、今日のドバイの姿が見られる展望デッキが造られています。建物のちょうど空洞部分から、幹線道路と高層ビルの眺望はもちろん、博物館の建物自体も仰ぎ見るこ都ができる特等席。こちらは、行かれた時のサプライズに!
詳細
・アクセス:ドバイメトロ レッドラインEMIRATES TOWERS駅より徒歩5分
・営業時間:10時~21時30分(19時30分最終入場)
・定休日:なし
・要予約(日時指定)
・料金:Dh149(公式サイト)
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さいごに
2071年宇宙の旅から始まる未来の世界の博物館。
今回の旅の一番の目的は、こちらの博物館で未来体験をすることでした。
導入部分からテーマパークのアトラクションのようで、子供だけでなく大人もワクワクする空間です。1階には子供専用のコーナーもありました。50年後の未来と言ってもドバイの町を見ていると、未来はすぐそばまで来ているように感じ、今の子供たちが大人になったとき、すでに生活に取り入れられている技術もあるのかもしれませんね。様々な展示品をじっくり見学・体験していたら(気が付いたら)3時間過ぎていました。内容を知らずに通り過ぎるのはもったいない博物館。大人気なのも理解できます。次回は、ライトアップされた姿もゆっくり見に行きたいな。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。