「旅とアロマ」にお越しくださり、ありがとうございます。
山形県庄内地方にあるSUIDEN TERRASSE 宿泊記の第二弾です。
SUIDEN TERRASSE には、2021年4月29日にオープンした「スパ棟」があります。「スパ棟」では、温泉と本格的なフィンランドサウナが体験できます。そのそばには、SAKE BAR & LOUNGE や、合計2,000冊もの蔵書をもつライブラリーも!今回は、雨の日でも楽しめる SUIDEN TERRASSE の滞在記をお届けいたします。
スポンサーリンク
SPA棟(概要)
スパ棟は客室棟から繋がっており、そこには温泉(3カ所)とサウナ(2カ所)があります。
温泉は、地下1,200mから汲み上げた源泉かけ流しです。
詳細
・温泉地名 鶴岡北京田温泉
・泉質 ナトリウム・カルシウム – 硫酸塩・塩化物温泉
・泉質別適応症 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
3カ所ある温泉のうち2カ所に、本格的なフィンランド式のサウナが設置されています。
スパ棟の設計も、ホテルの建築と同様、 坂 茂(ばん・しげる)氏が担っています。
さらに、アドバイザーにサウナ専門ブランドを手がけるTTNEを迎え、SUIDEN TERRASSE ならではのフィンランド式サウナが体験できます。
サウナストーンから立ち昇る蒸気(ロウリュ:löyly)を浴びるのがフィンランド式サウナの入り方。サウナストーンにはアロマを含んだ水をかけるので、同時に精油の香りも楽しむことができます。
SUIDEN TERRASSE のサウナで使われている香りは「ヒバ」。アロマ水をサウナストーンにかけると、まるで森林浴をしているかのような、清々しい香りに包まれました。
以前は、女性専用と男性専用に分かれていたようですが、入れ替え制に変わっていたので、2日間で3カ所の温泉(2か所のサウナ)を体験することができました(2022年9月現在)。
朱鷺色の湯
最初に入ったのは、朱鷺(とき)色の湯です。
こちらは内湯のみですが、木組みで構成される六角形の天窓があるので、日中は優しい光が降り注いでいました。お天気が良い夜は、星空が見られるかもしれません(推測)。
お湯の温度は(日によって違うかもしれませんが)、けっこう熱めでした。また、脱衣所も暑かったです。口コミにも『暑い』との声があったので、扇風機をたくさん置いて改善されているようですが、それでもまだ暑かったです。
なお、アメニティは、しっとり系の化粧水が置いてありました(女性用のパウダールーム)。
利用時間
・06:00〜24:00
※13:00〜14:30は清掃のためCLOSE
月白の湯
月白(げっぱく)は、月の光を思わせる、やや青みがかった色を指します。
洗い場を構成する優しい色味の白壁と、夜に浴槽を優しく照らす月明かりから命名されたそうです。
月白の湯には、サウナと露天風呂がありました。月白の湯は朱鷺の湯とセットで入れ替えとなります。入り口が異なり、月白の湯に入るには部屋の鍵が必要ですが、朱鷺の湯から出たあとに涼みに行くのもいいかもしれません。
月白の湯のサウナには、坂氏の建築のアイコンでもある「紙管」を模した木のベンチがあります。
サウナ室内の広さは 8.46㎡で、定員は6名です。
こちらには、さくらんぼやラ・フランスなど、山形県産の果樹で製作したウォーリュが設置されています。
ウォーリュとは、ウォール(壁)でロウリュすること
パネルに水が自動で流れる事によって、水蒸気とともに木の香りがサウナ室内に広がる仕掛けのようです。窓が付いているので、昼間だと開放的な雰囲気の中でサウナを体験できます。行ったのが夜だったので、あまり景色は楽しめませんでしたが、窓があるサウナはいいですね。
ここには、12分計がありません。
砂時計を置かないことで、(自分が好きなように)自由に入ってもらおうという意図があるようです。
サウナでしっかり汗をかいた後は、屋外にある水風呂へ。月白の湯の水風呂は、少し離れている露天風呂の横にあります。目の前は水盤が広がっていました。
水盤を眺めながら水風呂や露天風呂に入ることができますが、水が淀んでいた(藻が発生していた)ので、インフィニティプールのような感じではありませんでした。空を眺めていれば問題はありませんし、何より頬に当たる風が心地よく、サウナ、水風呂、露天風呂を堪能できました。
途中、ポツポツと雨が降ってきましたが、少しぬるめの露天風呂でゆったりできました。
開放感があり、ただただ気持ちよくて・・・。
利用時間
・06:00〜24:00
※13:00〜14:30は清掃のためCLOSE
天色の湯
坂氏を象徴するもうひとつのモチーフである六角形。
天色(あまいろ)の湯には、その六角形を基調としたデザインが印象的なサウナが併設されています。木のベンチは、蜂の巣のような六角柱を組み合わせた構造で、椅子の一部は可動式となっています。椅子は、好きな位置に移動させてもいいそうです。
こちらのサウナには、12分計が置いてありました。
天色の湯の水風呂は、サウナ室を出たすぐの所に配置されていました。水温は13度前後だそうですが、朝一で入ったとき、そこまで冷たく感じませんでした。
水風呂の形も六角形。その上には、六角形の天窓がありました。浴場の壁面には、澄んだ青空を思わせる鮮やかな青色のタイル。天色の湯 の名の通り、爽やかな晴れの日を思い描くインテリアになっています。露天風呂では、浴槽と天井の間から周囲の山々や空を望めることができます。この時期の夜だと、虫の音や水音に耳を澄ましながらリラックスできるのでしょうね。
利用時間
・06:00〜24:00
※13:00〜14:30は清掃のためCLOSE
とても快適だった温泉・サウナですが、夜はとても混んでいました。
なので、混雑状況を確認できる方法があればいいなあ、と思いました。
贅沢を言えば、夜中24時以降も入れると嬉しい・・・
- 温泉は写真禁止なので、https://www.yamagata-design.com からお借りしました。
ヒバの香り
ところで、SUIDEN TERRASSE のサウナ(天色の湯)では、「ヒバ」の香りでロウリュすることができました。
ヒバは、大きく分けて「南方型」と「北方型」があります。南方型は「アスナロ」と呼ばれ、鹿児島まで広く分布しています。一方、北方型は「アスナロ」の品種で、「青森ヒバ(ヒノキアスナロ)」とも呼ばれ、青森県を中心に北海道南部から関東北部に掛けて分布しています。つまり、「ヒバ」は、「アスナロ」と「青森ヒバ」の総称です。
日本固有の針葉樹高木で、樹齢200年を超すものもあり、その8割以上は、青森県の津軽半島と下北半島に分布しているそうです。
ヒバの精油
ヒバの精油は、まるで森林浴をしているかのような、なんとも清々しい木の香りが印象的な香りがします。
精油の特徴として「ヒノキチオール」と「ツヨプセン」が挙げられ、清々しい香りは「ツヨプセン」に由来します。
ヒノキチオール
ヒバ材やヒバに含まれるヒノキチオールは、真菌類(カビなど)に対して強い殺菌作用があることが分かっています。
「ヒノキチオール」は、日本のヒノキには含まれておらず、台湾のヒノキと日本のヒバに含まれている芳香成分です。
抗菌や殺菌、防虫、消臭に効果的と言われています。
そのため、古くから建築の土台としてや、近年では加工食品にも利用されています。
ツヨプセン
ヒバの清々しい香りは、ツヨプセンに由来するもので、気持ちをリラックスさせる精神安定効果が期待できます。
学名に "Thujopsis(ツヨプシス)” と付いていることから分かるように、ヒバの香りの大きな特徴になっている「ツヨプセン」という芳香成分が約7割も占めています。
ツヨプセンには、防虫効果、抗菌効果があると言われています。
強い抗菌作用とともに特長的なのが、青森ヒバの防虫効果です。他には類をみないほど強い効果があることが証明されていますヒバを使った家にはシロアリなどの害虫が寄らないと言われるほどです。さらに、寄せつけないだけでなく、殺蟻性もあることが証明されており、製材後6年経っても効果が劣らないという説もあります。
青森ヒバ パネリング【671号】
このような特性から、ヒバはシロアリやダニ、ゴキブリを寄せ付けないとも言われており、昔から社寺仏閣などの重要建築用材としても使用されてきました。青森ヒバを使った歴史的建造物も多く、弘前城や中尊寺金色堂、遠くは出雲大社などにも使われているそうです。
SUIDEN TERRASSE で利用されている香りが、アスナロなのか青森ヒバ(ヒノキアスナロ)なのかは分かりませんでしたが、ロウリュすると、サウナ内にヒバ特有のウッディな香り(まるでヒバの製材所にいる感じ)が立ち込めました。
一言でいうと、サウナ内で森林浴をしている感じでしょうか。
注意事項
樹木は、虫や菌などの外敵から身を守るため、上で示したような芳香成分を作り出しています。
木の精油は、通常の木材に含まれている芳香成分を非常に濃縮しているため、正しく使われなければ身体に害を及ぼすこともあります。
精油をご家庭で使用する場合は、以下のことにお気を付けください。
- 原液が皮膚についたらすぐ石鹸で洗い流す
- 飲用しない
- 目に入れない
- 火気に注意する
- 治療や投薬を受けている場合は、医師に相談する
- 3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は行わない。
- 3歳以上であっても使用量を半分以下にし、十分注意を払う
- 高齢者、既往症のある方は半分以下の量を目安にする
- 妊娠中は体調を考慮し、十分注意する
また、100%純粋なもので、箱やラベル、使用説明書に、品名、学名、抽出部分(位)、抽出方法、生産国(地)または原産国(地)、内容量、発売元または輸入元が書かれているものを選ぶといいでしょう。
ところで、精油は水と混じりません。
ご家庭で香りを楽しむためには、洗面器にお湯をはって、そこに精油を数滴垂らし、頭からタオルをかぶって蒸気に混じった香りを嗅ぐという方法もあります。
スポンサーリンク
SAKE BAR & LOUNGE
さて、体の内側からスッキリしたら、すぐそばにある SAKE BAR & LOUNGE へ立ち寄ってみましょう。
五感が研ぎ澄まされた(気がする)ので、おお酒がいつもより深く味わえるかもしれません。
ここには、セルフサービスのSAKE LOUNGE と 週末・祝日前だけオープンする SAKE BAR の2つのタイプのBARがあります。
SAKE LOUNGE
SAKE LOUNGE では、山形省内の地酒と県産ワインを楽しめます。
プリペイドカードを利用しますが、購入は、フロントやショップ、レストランなどで行います。飲みたいと思っても事前に購入しておかなければならないので、見るだけで諦めている方も多かったです。
なお、プリペイドカードは、1,000円(2杯)、1,500円(3倍)、2,000円(4杯)の3種類がありました。
今回は一休.com のダイヤモンド会員特典で2,000円のプリペイドカードをいただいていたので、温泉上がりに白ワインを飲んでみました。SAKE LOUNGE(セルフサービス)は、日本酒とワイン(赤・白)だけです。
ワインは1杯40mlなので、テイスティングといった感じでしょうか。量が少ないので、夕食前の食前酒に2杯、寝る前のサウナ後に2杯いただきました。なお、そばに、給水機もありますのでチェイサーとしていただけます。
SAKE LOUNGE
[営業時間]3:30 pm - 0:00 am
SAKE BAR
有人のSAKE BARは、館内着のままで気軽に楽しめるバーです。
こちらだと、ビールやスパークリングワインもあるようです。
山形の季節のフルーツを使ったジェラートやジュースもあり、お子さまの入店も可能だそうです。
SAKE BAR
[営業時間] 9:00 pm - 11:00 pm(LO 10:30 pm)
*毎週 火・水・祝前日は休業
LIBRARY
SUIDEN TERRASSE には、「オトナもコドモ、コドモもオトナ」をコンセプトに、約2,000冊の本が並んでいるライブラリーがあります。
共用棟と客室G棟にあり、客室G棟のライブラリーは、ゲスト専用です。
水盤や移りゆく景色を眺めながら、好きな本を読める場所。
客室G棟のライブラリーには7つのテーマに沿った本が並んでおり、いくつかの部屋に分かれているのでゆっくりすることができました。
7つのテーマ
・一冊一献
・整える
・物思いに耽る夜
・Farm to Table
・わからないことを考える
・地域の暮らしの今昔
・確かな時代を生きるための本
「整える」コーナーもあり、サウナや温泉に関する本もたくさんありました。
次回は、ここでサウナについて勉強してから入ろうと思います。
同じく「整える」コーナーから。
まるで自分の家の本棚を見ているかのようなラインナップ(笑)!
持っていない本もあったので、一日中こちらで過ごしたかったです。
時間がもっと欲しい!と心底思いました。
こちらのライブラリーは(他の方の迷惑にならない範囲内で)けっこう自由なので、飲み物を飲みながら本を読むこともできるようです。
実用書だけでなく写真集などもあるので、普段読まない本も思わず手に取ってしまいそうです。
スポンサーリンク
さいごに
温泉やサウナに入ったあとはお酒をたしなみ、時間をつくって読書する・・・
SUIDEN TERRASSE では、ゆっくりした時間を過ごすことができました。SUIDEN TERRASSE のサウナは、本格的なフィンランド式というだけでなく、著名な建築家がサウナ室のデザインに関わったという点でも特別かもしれません。この木の香りに癒されるサウナと温泉、そしてライブラリーを目当てにまた行きたいと思っています。
なお、営業時間などは宿泊当時(2022年)のものですので、最新情報は、SUIDEN TERRASSE の公式サイトでお確かめください。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。