旅とアロマにお越しくださり、ありがとうございます。
紅葉の季節の京都旅行の続きです。
日中の紅葉狩りだけでなく、夜のライトアップも楽しんでみました。
今回は、永観堂(えいかんどう)の紅葉と、東寺の紅葉をお届けいたします。
※2021年秋の旅行記です。
永観堂
永観堂は、浄土宗西山禅林寺派の総本山で、正式名称を「禅林寺」と言います。
853(仁寿3)年に、空海の弟子である真紹が開山し、1072(延久4)年に、第7世永観が浄土念仏の道場としました。
平安後期の1082年2月15日未明、念仏を唱えながら本堂を歩く修行をしていた永観の前に、本尊の阿弥陀如来が現れました。夢ではないかと立ち止まる永観に、阿弥陀如来は振り返りながら「永観、遅し」と発したと伝えられています。
永観堂には、その姿を仏像にした「阿弥陀如来立像(重要文化財)」が祀られており、首を左に向けて微笑みを湛える「みかえり阿弥陀」として親しまれているそうです。
また、永観堂は、京都でも随一の人気を誇る紅葉の名所です。その美しさは古今和歌集にも「モミジの永観堂」と詠まれるほどで、秋になると多くの観光客で賑わいます。
見頃は11月中旬からです。今年は、ちょうど見頃に訪れることができました。
およそ3000本のイロハモミジやオオモミジが池泉回遊式庭園を彩り、多宝塔や御影堂を華やかに引き立てて、幻想的な世界が作り出されています。
コロナ以前は、開門前から行列が出来るほどの人気があったと聞いています。
ただ、以下のような比較的空いている時間帯もあるようです(年によって違うかもしれませんので、あくまで参考程度として)。
おすすめ時間帯
・9:00~10:30
・16:00~17:00(閉門)
永観堂では、毎年紅葉の時期(11月上旬から12月上旬)にかけて夜間拝観を行なっており、境内がライトアップされます。
垣のようにはりめぐらされた岩に紅葉が映える様子は、「岩垣もみじ」と呼ばれています。
また、ライトアップ時に東山を背に浮かぶ多宝塔や放生池 (ほうじょうち) などの景色は、息をのむ美しさです。
今回は、その夜のライトアップを見てみることにしました。
夜間特別拝観
2022年11月5日(土) ~ 12月4日(日)
詳細はこちら >>> 拝観のご案内
アクセス
- 地下鉄東西線「蹴上駅」下車 徒歩15分
- 市バス「南禅寺永観堂道」下車 徒歩3分
人出が多い時間帯は地下鉄でアクセスするのが良いようですが、夕方だったので、バスでやってきました。
JR京都駅のバス停「A1」から乗りました(上の左の写真)。
帰りは、バス停「南禅寺・永観堂道」から5系統のバスで京都駅に戻りました(上の右の写真)。
帰りは19時台でしたが、0・(12)・21・(33)・45・(57)と約10分おき位にバスがやってくるようでした。
20時台は12・(32)・55、21時台は(16)・33・(53)です。
※上記の時刻は2021年11月現在
※( )印は五条通経由です。四条高倉・四条烏丸・烏丸松原へは行きません。
夜間特別拝観の時季には、要所要所にスタッフの方が立っているので、分からないことは教えてもらえそうです。
夜のライトアップ
バス停から5分ほどで総門に着きました。
門の間から見える紅葉も素晴らしく、心躍りました。
中門
総門を入って真っすぐ進むと、京都府指定文化財の『中門』があります。
この門は、1713(正徳3)年築の薬医門という形式だそうです。
薬医門
鎌倉時代末期か室町時代初期の、武家または公家の屋敷などに現れる門形式の一。
「本柱」と「控柱」に荷重が分散され構造上の安定が得られるためか、或いは施工性に優れていたのか、後に城郭や社寺にも広く使われるようになる。
棟の芯と、本柱の芯をずれているのが特徴
出所:薬医門―大阪文化財ナビ
この先に料金所がありますが、ライトアップが始まった少し後(18時20分頃)に到着したためか、行列はありませんでした。
入ってすぐの広場の紅葉。息をのむ美しさでした。
真っ赤な葉で覆われている木、まだ緑の葉が残っている木、さまざまな木々が美しい光景を作り出していました。
思っていたほど混雑していませんでしたので(この年だけ?)ゆっくり見て回れました。
前日に行った清水寺のライトアップに比べると、はるかに人が少ない気がしました(この年だけ?←しつこい・笑)
紅葉のトンネルを抜けて、阿弥陀堂(本堂)の方へ進みます。
御影堂 (大殿)
1912年(大正元)年に完成した、総ケヤキ造の仏堂です。
赤・白・黄・紫・緑の大きな五色幕が掛けられています。
「御影堂」は、宗祖法然を祀る堂で、本尊を安置する「阿弥陀堂」よりも規模が大きく山内最大の建物だそうです。
阿弥陀堂(本堂)
長い階段を上った先に阿弥陀堂がありました。ひさしの内側が極彩色に塗られています。
夜間拝観の際にも、「みかえり阿弥陀」を拝むことができます。
入り口付近でビニール袋をもらって、靴を脱いで上がりました。
堂内も極彩色で、格天井には「百花」が描かれていますが、両端の長方形の部分だけは、白く塗った「散り睡蓮」となっています。
こちらは、ご本尊「みかえり阿弥陀」が祀られる本堂で、京都府指定文化財です。
現代の私たちが、みかえり阿弥陀のお姿に教えられるもの、それは、遅れるものを待つ姿勢、思いやり深くまわりをみつめる姿勢、そして自分自身をかえりみ、人々とともに正しく前へ進む姿勢です(永観堂ガイドより)。
現在でも、向かって右側から本尊を拝見すると、当時の様子を感じることができます。
お顔全体に漂う穏やかな微笑み。それは、遠い昔、永観律師を励まされたときのままのように感じました。
私自身にも微笑みかけてくださっているようなお姿を拝見して、自分を顧みてみようと思ったのでした。
年末に向け、心の中も少しスッキリさせておきたいものです。
階段の下の「やすらぎ観音」も、ライトアップで浮かび上がり、優しく微笑んでいます。
放生池
放生池(ほうじょうち)に映る紅葉も、夜の拝観で人気がある場所です。
しかし、橋の上では(危険防止のため)、撮影禁止になっていました。
よくガイドブックなどで見るような橋からの景色は、見るだけです。
ただ、橋を渡ったところから、放生池の水に反射した紅葉の写真を撮ることができました。
とても綺麗です。
その先、放生池の近くには「みかえり茶屋」という茶店があります。
紅葉を眺めながらわらびもちや甘酒、おぜんざいなどを頂くことができます。
思っていたより暖かな夜(16℃くらい)だったので、ゆっくり景色を楽しみながら、おぜんざいをいただきました。ほっ(^^)
遠くに、「多宝塔」が見えました。
多宝塔(PAGADA)は、総門から一番奥、一番高いところに建っており、京都市内が一望できるそうです。上部は、円形をしている二重の塔です。
昼間に拝観すれば、まるで龍の体内を歩いているような不思議な気分が味わえる急こう配の階段状の廊下・臥龍廊(がりゅうろう)や、応仁の乱で奇跡的に焼けずに残った「火除けの阿弥陀」なども見ることができるそうです。
夜間特別拝観は、多くの場所で一方通行になっていて、行けない場所もあります。
この紅葉の下も歩いてみたかったです。
最後に見たのは黄葉の絨毯。本当に美しい場所で、来られてよかったです。
水鏡に紅葉を映す放生池、池泉回遊式庭園を彩る紅いもみじ・・・どこも美しくて幻想的な世界でした。。
贅沢を言うなら、昼と夜の2回訪れて、違いを味わってみたいと思いました。
初めて行かれる方は、永観堂禅林寺のパンフレットをダウンロードしておくと、散策に便利かもしれません。
- こちら >>> 永観堂ガイド
次の朝、ホテルから歩いて「東寺」に行ってみました。
東寺
東寺(とうじ)は、唯一残る平安京の遺構です。1994(平成6)年に世界遺産に登録されました。
真言宗の総本山である東寺は、教王護国寺(きょうおうごこくじ)とも呼ばれ、日本仏教の歴史において非常に重要な場所とされているそうです。
創建から約1200年。その間に、幾度も台風や雷火、兵火などの災害を受け、堂塔の大半を焼失しました。
しかし、その都度、民衆の信仰の力により元の姿に再建されてきました。
五重塔の中には、空海が唐から持ち帰った仏舎利が収められています。
普段は一般公開されていませんが、特別公開時にはその中を拝むことができます。ちょうど、五重塔の初層の特別公開が行われていました。
現在の五重塔は5代目で、古都の玄関象徴として、昔の姿そのままを伝えています。
総高55mで、現存する日本の古塔の中で、最高の高さを誇ります。
内部は写真撮影禁止ですが、初層内部には極彩色の密教空間が広がっていました。周囲4方向からゆっくり見て周れます。
内部は心柱 (しんばしら) を大日如来 (だいにちにょらい:真言密教の教主である仏であり、密教の本尊) に見立てています。
五重塔の初層内部には、極彩色で彩られた密教空間が広がっています。
五重塔の各層を貫いている心柱は、大日如来として、その周りを四尊の如来、八尊の菩薩が囲んでいます。さらに、四方の柱に金剛界曼荼羅を描いています。
また、四面の側柱には八大龍王、壁には真言八祖像を描き、真言の教えが弘法大師空海に伝えられた歴史を表しています。
https://toji.or.jp/guide/gojunoto/
四尊の如来とは、以下です。
- 阿閦如来 (あしゅくにょらい):東の浄土で怒りをたつことで悟りをえた仏
- 宝生如来 (ほうしょうにょらい) :事物間の平等性をみぬく智慧と、修行により福徳の宝を生ずる徳とをそなえた仏
- 阿弥陀如来 (あみだにょらい):西方の極楽浄土の教主で、生あるものすべてをすくう仏
- 不空成就如来 (ふくうじょうじゅにょらい) :目的を達成させる為に成すべき事を成就させる智慧
初めて五重塔の内部を見て、その世界観に感激しました。
ところで、東寺の五重塔は、四度の焼失を経ています。しかし、地震で倒壊したという記録は見当たりません。
これは、五重塔の塔身が、各層ごとに、軸部、組み物、軒を組み上げ、これを最上層まで繰り返す積み上げ構造になっているからだそうです。
木材同士も切り組や単純な釘打ち程度の柔構造です。
なので、地震のエネルギーは、接合部で吸収され、上層部へ伝わるにつれて弱くなるとともに、下と上の層が互いに振動することになります。
倒れようとする力より元に戻ろうとする復元力の方が大きいので、地震に強いと考えられています。
東寺は、国宝の金堂(桃山時代)や、重文の講堂(室町時代)、少し離れて食堂が一直線に置かれ、そのそばに五重塔が建っています。
東寺は真言宗の開祖、 弘法大師空海にゆかりの深い寺でもあるそうです。
平安時代の794(延暦13)年に平安京鎮護のために官寺として創建されましたが、823(弘仁)14年に嵯峨天皇は東寺を空海に託しました。
唐で密教を学んだ空海は、ここ東寺で、仏像を用いた立体的な曼荼羅を再現 しました。
曼荼羅とは、密教の教えをわかりやすく絵で表現したものです。仏や神が体系的に配置されており、悟りの境地を表しているといいます。
講堂(上の写真の左の建物)には、その立体曼荼羅が安置されています。
密教の本尊である大日如来を中心として五智如来、右側に五大菩薩、左側に五大明王、須弥壇に四天王、そして梵天、帝釈天が守るように配置されています。
仏像の周囲を一周できますので、さまざまな方向から拝み、計21体にもなる仏像の圧倒的な迫力を感じることができます。
なお、当分の間、金剛波羅蜜多菩薩坐像は修理が行われており、美術院国宝修理所で保全が行われています(2021年11月現在)。
東寺の公式サイトは、とても素敵です。帰ってきて、復習もかねて見てみました。
内部のようすをご覧になりたい方は、こちらも合わせてどうぞ >>> 境内の案内
東寺の紅葉
見どころ満載の東寺の紅葉も、ちょうど見頃を迎えていました。
東寺の境内はそんなに広くないのですが、(私は行った朝は)人が少なく、ゆっくり紅葉を楽しむことができました。
五重塔のそばにある池の周りの紅葉が朝日を浴びて、キラキラ光っていました。
他の場所の混雑を考えると、信じられないほど空いていました(朝ということもあるのかもしれませんが)。
早朝の清々しい空気を味わいながらの紅葉狩りは、とても思い出深いものに!
1時間ほど散策して帰ろうとしたとき、修学旅行の学生さんたちとすれ違いましたので、やっぱり拝観は早朝がいいようです。
境内には桜の木もたくさんありました。
ボランティアスタッフの方から「桜の時季もきれいですよ」と教えてもらったので、機会があれば、また訪れてみたいと思いました。
拝観時間とアクセス
東寺をお勧めする理由のひとつに、アクセスの良さがあります。
JR京都駅に近いホテルに泊まっていましたが、朝の散歩にちょうどいい距離(徒歩15分くらい)にありました。
なので、出発する日の朝に拝観しました。
拝観時間
5:00~17:00
金堂・講堂 8:00~17:00(16:30受付終了)
宝物館・観智院 9:00~17:00(16:30受付終了)
電車・バス
もし公共交通機関を利用するなら、以下の方法があります。
- 近鉄電車:「東寺駅」より徒歩10分(約0.6km)
- バス:最寄りのバス停留所は「東寺東門前」、「東寺南門前」、「九条大宮」、「東寺西門前」。 バスを降りると境内は、すぐ目前です。
バスの路線については、こちらをどうぞ >>> 交通のご案内
東寺は、JR京都駅から近くアクセス良好 なため、到着した日や帰る前の最後の観光などにもぴったりです。
JR京都駅の八条口から歩いて約15分、京都駅から1駅の近鉄東寺駅からは徒歩約10分です。
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さいごに
夜と朝の紅葉をご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
永観堂も東寺も、どちらも初めて行った場所ですが、美しい紅葉を堪能することができました。
特に、朝の東寺は穴場的な場所ですね。
追記
2022年の紅葉の時季は、かなり混雑しており、入場まで1時間以上かかる場合もあるそうです。
なので、時間をずらすなど工夫が必要かもしれませんね。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。